ハナウタ
「手伝うよ」

「いらない」





…これで何回目だろうか、
一応、多く荷物を持ってる人や困っている人には一度声をかける性分だから、
それを拒否されるのは少し淋しいな…

っていうか、彼女、実質つらそうだ。


僕は横から彼女の持ってる段ボールの山を半分ひったくった。



「あっ!!」

「どこまで持ってくの?」

「かっ返せよ!」



抑えた声ながら必死に言う彼女に苦笑して返す。



「先に置いて来るから。伊沢サンは何も知らない顔で歩いて行ってくれればいいよ」



驚く彼女から目的地を聞き出し、小走りでそこへ向かう。

言っていた場所に段ボールを置いて戻って来ると、遅れて歩いて来る伊沢サンとすれ違う。

彼女が周りに気付かれない程度にこっちに視線を投げていることには気付いていたが、素知らぬ顔で歩いて行く。








集団で仲良くやっていくって大変だ、と僕は廊下で一人こぼした。
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