ハナウタ
とりあえずどうしようかなと花の入った花瓶を持ち上げていた所に、丁度登校して来たアオと目が合った。

僕を見て立ち止まったアオの肩越しに柏原が教室を覗き込み、僕の手にある花瓶を見た瞬間、彼はアオを押しのけて声を上げた。








「いい加減にしろよ!!」










教室の空気が凍りつく。
九ノ月サンを始めとするクラスの女子達がビクリと肩を震わせたのが見えた。

アオまでもが驚愕に目を見開いている。


柏原はつかつかと僕の前まで歩いて来ると、僕に背を向けてまた彼女らに怒鳴る。




「こいつが何したんだよ!
お前らが何されたんだよ!
くだらねぇ事してんじゃねぇよ!
ふざけんのも大概にしろよ!!」



それを彼の背中越しに聞いていた僕は、自分の立場を忘れていた。


















違うよ柏原、

彼女なりの…

九ノ月サンは柏原の大事な人になりたかっただけなんだよ















九ノ月サンが泣きながら教室を出て行ったのを見た直後、僕はなんの前触れを感知することも出来ず意識を失った。
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