ハナウタ
曇り
「楠木さん!
それ、半分貸して」
授業の終わり、廊下を歩く僕の後ろからそんな言葉が追ってきた。
振り返り声をかけてきたクラスメートと自分の手にある授業終了後に集めた古典のノートを見た。
「俺もさ、古典の教科係だから」
「あ、そうなんだ。よろしく、えっと…」
ノートを半分渡しながら僕が口ごもったのを見て察しよくにこりと笑う。
「俺、柏原 京介(カイバラ キョウスケ)」
「よろしく、柏原君。
ごめんね、人の名前って覚えるの苦手で…」
「気にしないで。
それより、楠木さんの名前、なんて読むの?」
初対面の人間には必ず振られる話題。
僕はいつも通りに答える。
「カヤ、だよ。 クスノキ カヤ」
それ、半分貸して」
授業の終わり、廊下を歩く僕の後ろからそんな言葉が追ってきた。
振り返り声をかけてきたクラスメートと自分の手にある授業終了後に集めた古典のノートを見た。
「俺もさ、古典の教科係だから」
「あ、そうなんだ。よろしく、えっと…」
ノートを半分渡しながら僕が口ごもったのを見て察しよくにこりと笑う。
「俺、柏原 京介(カイバラ キョウスケ)」
「よろしく、柏原君。
ごめんね、人の名前って覚えるの苦手で…」
「気にしないで。
それより、楠木さんの名前、なんて読むの?」
初対面の人間には必ず振られる話題。
僕はいつも通りに答える。
「カヤ、だよ。 クスノキ カヤ」