ハナウタ
…―いいか?
"ヒト"の中には、色々な所から色々な"想い"を受信するアンテナがある。
自分の中心にあるからこそ、アンテナは"自分からの想い"を1番強く受信する。
だから人によっては自分だけが可哀相だったり、自分が全て悪いんだと感じちゃう奴が出てくるんだよ―…
いつか、誰かに聞いた言葉。
多分僕の中のアンテナはその自然な不公平を許したくないんだろう。
だから、自分から発信する"想い"にリミッターをつけたのだろう。
でも、"ヒト"なんてそんなシンプルな生き物じゃない。そんな綺麗ではいられない。
だから歪みが出来て、ある時こうして溢れるようになっているんだ。
人は、自分だけが大事でも、他人だけが大事でもいけないから、自分も他人も大事に思えるように出来てる。
こんな人間でありたくなかった。
悩むことは苦しく、人らしく生きていくのはとても疲れる。
それをいちいち自覚して、苦しさと醜さに気付く人間になんてなりたくなかった。
きっとそれらを受け入れるには、僕という器は小さすぎる。
それを自覚するのは、やっぱり怖い。
強い、したたかな心が欲しい。
人を愛しいと、
裏切られても、嫌われても、拒絶、されても、
それでも人を信じるだけの、
受け入れるだけの、
「それでも愛しい」と、
本気で、平常言い切れるだけの、強い心。
その切望がまた、僕の目から涙を落とさせた。
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