ハナウタ
「私なりに必死なのよ。
あんたには馬鹿らしくてくだらないって思うだろうけど」


「そんな事ないよ。素敵な事だと思う」




僕は狭い足元にやんわりと意識を向け続けながら言う。




「人を好きになる事って、人らしくある為にとても大切な事だと思う。
その"好き"が、"love"であっても、"like"であってもね」



僕が思うに、人と人の付き合いはその"好き"から始まるのだと思うのだ。





それは印象が良かったからだったり、

一目惚れだったり。

好きだからこそ近付きたくて、

好きだからこそ憎くなる。




そういった所にこそ"温度"がともる。

人らしくあるとは、そういう事だと思う。






「僕は、人らしく在る人が好き。
だから勿論、九ノ月サンも、僕は好きだよ」


そういって僕は笑い、彼女はただ耳を傾ける。


そう、僕は人が好き。
けど、きっと1番人が憎い。



魅力的で、攻撃的で、とても愚かだから。
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