ハナウタ
1年生の校舎は、そわそわとした陽気で満ちていた。
新しい制服、
知っている顔と、
知らない顔。
期待と、不安の混在する空気が、そこかしこに感じられた。
「ねぇ、名前、なんて読むの?ソウ?」
文庫本から目を上げると、セミロングのあどけない瞳で笑いかける少女がいた。
その口調には好奇心と、僅かな緊張が垣間見える。
僕はただ、微笑って答えた。
「"カヤ"って読むんだ」
「ふぅん…変わった読み方なのね。
私、九ノ月 香奈子(クノツキ カナコ)。隣の席なの。
よろしくねっ♪」
そう言って華のように笑いながら僕の隣に座り、軽く頬にかかった髪を耳にかける。
『大和撫子』と言う美称が似合いそうな風貌をした子だな、と思った。
文庫本に目を戻そうとした直後、廊下がにわかにさわがしくなったのを感じて、そちらに視線を向ける。
と、丁度教室に入ってきた青年と目が合った。
新しい制服、
知っている顔と、
知らない顔。
期待と、不安の混在する空気が、そこかしこに感じられた。
「ねぇ、名前、なんて読むの?ソウ?」
文庫本から目を上げると、セミロングのあどけない瞳で笑いかける少女がいた。
その口調には好奇心と、僅かな緊張が垣間見える。
僕はただ、微笑って答えた。
「"カヤ"って読むんだ」
「ふぅん…変わった読み方なのね。
私、九ノ月 香奈子(クノツキ カナコ)。隣の席なの。
よろしくねっ♪」
そう言って華のように笑いながら僕の隣に座り、軽く頬にかかった髪を耳にかける。
『大和撫子』と言う美称が似合いそうな風貌をした子だな、と思った。
文庫本に目を戻そうとした直後、廊下がにわかにさわがしくなったのを感じて、そちらに視線を向ける。
と、丁度教室に入ってきた青年と目が合った。