ハナウタ

あの光の下へ

あれから、

京介は、九ノ月と付き合う事になった。




「わかり合っていくって事、しようと思ってさ。
楠木の時みたいに何も言わないで俺をわかって貰おうなんて、やっぱりおかしいもんな」

そう言って京介は照れたように笑った。


喧嘩をしたり、許し合ったり、
京介は、"優等生"をやめたようだった。

どうやら九ノ月達を怒鳴ってからか、カヤの言葉を受けてからか、京介の中で何かが吹っ切れたようで、親戚達に対する気持ちも、何処かで踏ん切りがついたらしい。

「あんなに拒絶してたのに」と少し茶化すと、「馬鹿な奴だけど、真っ直ぐなんだよな。あいつ」と苦笑していた。

以前より、よっぽどのびのびとしているようだった。








俺は、長休みを利用してカヤの行っていたらしい中学に行った。







カヤの事を聞いて回っていたところ、その噂を聞いたと言う一組の男女に会った。

男の方は、木賀西 涼と言う名前でスポーツ刈りの黒髪に運動好きそうな体格と知性的な目鼻立ちは、同性の俺から見ても、魅力のある男だった。

女の方は境 木乃香(サカイ コノカ)。
すっきりした美人で、肩までの髪は自然な赤茶だった。
二人とも俺と同い年。
どこか人に好かれやすそうな雰囲気がある。
以前のカヤの同級生だった。














「カヤがあんな風になった原因は私なの」

境はその瞳に涙を浮かべて話し出した。






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