ハナウタ
カヤはきっと、傷付きはしても2人を恨んではいないはずだ。

傷付くほどに、2人の事が好きだったんだから。


…まぁ、だからこそ2人は悔やんでしまうんだろう。

離れたのは、きっとあいつ自身の弱さ。
あんなことをした後の自分の前では、二人がぎくしゃくしてしまうと思ったのかもな。







「もう、大丈夫だから」




俺はゆっくりと席を立つ。







「あいつにはもう俺がついてるから、もう悔やむのはやめにしろよ」



それでも暗い顔をしてる2人に、俺は眉を下げて歯を見せて笑う。











「次に会った時は、謝るのは1回きりにして、受け入れてやってくれよ」




もう、カヤの"大好きな2人"がカヤから離れていかないように、

3人の気持ちが、また手を繋げるように…






「…そうだな」


しばらくして、木賀西が微笑んで言った。
境の方も、その瞳いっぱいに涙を溜めて何度も、何度も頷いた。





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