ハナウタ
胸が、熱い。

痛いくらい。









「俺とお前自身から逃げ出した罰な」









そう言ってアオはいつかの教室にいた時みたいに、優しく笑った。

眼球が痺れるような勢いで、視界が急激に歪む。












アオ、駄目だよ。


優しくしないで。

包み込もうとしないで。

僕は頼ってしまう。

依存してしまう。















「マジで探したんだぞ…カヤ……」




肺の中の二酸化炭素を全て吐き出すように呟いて、彼は僕を包み込んだ。

土と汗の匂いがして、痛覚を思い出したような僕の胸の痛みを吸い取るような、確かな温もりが僕を包む。
< 77 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop