ハナウタ









「なぁ…俺ら、さ。

わかんねーんだよなぁ」




そう言って、僕の背中で、彼は笑った。


「…怖いんだよな。色んな事が。
知る努力をさ、しねぇのも、知って色んなどうにもなんねぇことを視界に置いとくのも、怖いんだ」







「めんどくせーよなぁ、ただ生きるってさぁ!」と言葉にし切れない何かを吐き出すような息を吐きながらアオが声をあげて、


「でもあったかくなっちまうんだよな。ほんっとーに小さな事でもさ、関わりたくなっちまうんだ」




そう在りたいって、思ってる。
参っちゃうよなぁ、ほんとにさ。と、呟いた。


後ろでアオが空を見上げる気配がした。

僕も、まだ熱の残る目で空を見上げる。

雨が降るかな、と、考えてたことをアオに言われて、なんだか笑えた。
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