ハナウタ
思い返してみれば、僕と蒼岸君はウマが合うようだった。

話の内容が、とか、そういったものではなくてなんとなく、そう、

ふと入れる会話の流れ、とか、
共有する間の雰囲気。




それらが心地良い。

教室に入って、授業が始まってしばらくしてからそんなことに思い至った。








コロッ…

ふと、手元を見ると丸めた小さな紙。
隣の九ノ月サンが先生の目を盗んでこっちに笑いかけるのがわかった。



カサ…


紙を開くと、女の子らしい少し丸みのきついくせ字が目に入る。





『ぉ昼どこで食べてたの???
明日はカヤちゃんもいっしょに食べよっ(>ω<)gグッ』






うー…ん。
なんて返そうかな。

彼女達が嫌いなわけじゃないし、話を聞くのも嫌じゃない。


でも実のところ彼女らがするような会話はあまりわからないし、興味も薄い。

彼女達の方は軽く声をかけてくれているけど、変な返し方は、避けたい。





「次の問題、楠木」

「あ、はい」
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