天使に恋した悪魔
ー司視点ー

恵璃華と帰ろうとした時にバタンッて音が聞こえた。
邪魔されたのでムカついて振り返る。
緋李がいた。
緋李が倒れていた。
「緋ッーーー!?」
駆け寄ろうとした時に 近くにいた男子が緋李をお姫様抱っこして保健室に連れて行った。
「なぁ・・・」
俺は側にいた男子友達に声をかける。
「今、緋李を運んだのって誰?」
自分でも驚くくらいムスッとして喋っていた。
「柊と?あぁ、アイツ1組の森下 靖(もりした やす)だよ。確か、野球部だったけか?」
「1組・・・。」
1組というと緋李と同じクラスか。
・・・。
「司先輩?」
横にいる恵璃華が不安そうな顔で顔を見る。
俺は恵璃華が好きだ。
だから緋李の事なんて・・・
「あの人が・・・どうかしたんですか?」
恵璃華は俺を上目遣いで見る。
「いや、幼なじみなんだよ。だから気になって、さ」
そうだ。
俺と緋李は幼なじみだ。
だから気になっただけなんだ。
それだけだ。
そう 思ってたのに心のモヤモヤは収まらない。
なんだよ 靖って誰だよ?
この前まで 俺の事ばっか見てたクセに。
もう彼氏作ってんのか・・・?
「先輩、帰りましょ?」
あぁ そうだ。
「あぁ。」
俺も・・・だ。
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