流れる雲

悲しみ

 彼女は当たり前のように周りに馴染んでいった。彼女はわざわざ自分から友達を求めるわけでなく、普通にそこにいたように馴染んで言った。でも私は彼女がものすごく気になっていて素直に仲良くすることはできなかった。そんなある日彼女は私に話しかけてきた。
 「えみさんってきれい。彼氏とかいるの?」
 この子は私と和弥のことを知らない。うちら、学校中に有名なのに。なんで?誰もしゃべってくれてないの?噂にしないの?
 どんどん私の中で黒い気持ちが 
 うずまいていった。
 
 でも私は笑顔で答えた。
 「和弥。うち、和弥と付き合ってんだぁ」
 
 《ざまぁみろ。》

 

 心の中でこう思っている自分がいた。

最低。

 そしてわざとらしく言う。
「もう付き合って2年は経つんだぁ」
 
 どうしてだろう。
 私ってこんな最低な女だっけ。
 こんなんじゃ和弥に嫌われちゃうよ。。。。。。
 
 でも彼女は大人だった。
 気にもしない様子で言った。
 「そっか。お似合いだ」


 私って最低。
 
 あらためて思った。
 

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