流れる雲
私は和弥本人から直接話が聞きたかった。だから二人の思い出の場所。近くの川原に呼んだ。3分くらい待つとすぐに和也が来た。
 「悪い。待った?」
 そう言う和弥は息が荒くなっていてダレから見ても和也は私のために急いでくれたことは明らかだった。でも私の決意は変わらなかった。
 「あの。。。。さ。うち聞きたいことあるんだけど。。」
 そう言って隣にいる和弥を見た。真剣な顔で私の顔を見た。
 「ん?」
 「レナのことなんだけど…。」
 一瞬彼の顔色が変わったような気がした。私は築かないふりをして続ける。
 「おそろいのストラップとか。初めてレナがうちらの教室に来たときに会釈をしてたときのこととか。」
 「あの子と和弥。初対面じゃないの?」

 彼の顔が凍っていた。私は実感した。

 《和弥とレナの間には何かあったんだ………》

 そう考えるだけで涙がとまらなかった。そんな私を見て和弥が言う。
 「俺さ…」
 「いや!!」
 でも彼の言葉をさえぎってしまった。
 事実に目を向けたくなかった。レナと和弥に何かがあったことを認めたくなかった。

 「ゴメン。私もう何を聞いても和弥を信じられないよ。ゼンブ言い訳にしか聞こえない。」
 最低だ。でも私は分かっていながら続けた。
 「和弥がもう私のことを嫌いになったんなら別れよう?きとこんなに不安になるのは私だけなんだよ。きっと和弥は私と好きで付き合ってるんじゃない!!」

 和弥はレナと何かあった。
 事実は消えない。
 なら、もう私は消えるしかない。
 


  私はそう思っていた。
 和弥の気持ちなんか考えずに。

< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop