君と桜と
「み、たにくん・・・?」
奈緒がしがみついていたのは、三谷君だったようだ。
落ち着いた声は、間違いなく彼のものだ。
物凄く大胆な行動をしていたことに気付いたけれど、不思議と心は落ち着いていた。
まだ視界がはっきりしないせいだろうか。
「みたにくん、ごめんなさい。
私、言わなきゃ・・・」
今言うべき事は一つ。
よく見えない、今のうちなら。
夢の中のような、この場所なら。
伝えるなら、今しかない。
不思議と確信が持てた。
「箕輪・・・」
三谷君の声が、すぐ近くから聞こえる。
「あの・・・あのね。
お友達として仲良くしてくれてるのは分かってる。
分かってるよ・・・」
「箕輪、」
「でもね、」
「だめだ。」