君と桜と



三谷君は、そっと奈緒から離れた。




「・・・・・・」




目の前にある瞳はいつもと違ってゆらいでいて。




そのことがさらに不安を煽り、暑いはずなのに身体が震える。






奈緒は届かないとわかっていながらも、

ただ行かないでと目で訴える事しかできなかった。



今離れてしまったら、元の場所に戻ってこられなくなる、そんな予感がした。




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