君と桜と
夏の終わりに
数日後――文化祭前日
慌ただしく準備が進む中、奈緒は一人校庭の桜の木の下に座って悩んでいた。
あの日のことを絢にも打ち明けることができず、懲りずにまた、一人で答えの出ない問題と向き合っていたのだ。
どうすればいいの・・・?
‘待っていてほしい’
この言葉をどう受け止めたらいいのか、分からなかった。
友達としか思われてなかったことは分かったけれど、待つって何を待てばいいのだろう。
待っていたら、答がもらえるのかな?
・・・でも‘友達’が答だよね?
もう、わかんないよ。
多くを語らない彼のことが、今は恨めしく思えてくる。