君と桜と


それは、坂城君のセリフで、もう何度も聞いていたはずなのに。
まるで初めて聞いたかのように奈緒の心に刺さった。




‘信じる’




なんてたくましい言葉なのだろうか。






そうだ、信じてみよう。




三谷君を

隆司を

信じよう。




信じて、
待ち続ける。




訳を話してくれる
その日まで。





奈緒は秋の気配が近付く空を見上げて一人誓った。





単純なことなのだ。

強くなろう。




< 112 / 205 >

この作品をシェア

pagetop