君と桜と


練習終了後、



先程笑ったことに文句を言ってやろうと思い、隆司の隣に座る。

隣に座るのはひどく久しぶりな感じがした。



と、不意にミルクティーを差し出す隆司。


奈緒はさっきまでの勢いを砕かれてしまった。



「さ、さっき笑ったでしょ。」



不機嫌なフリをして受け取るけれど、顔が緩むのを隠せない。



「いや、ありがとうって思って。」



「え・・・?」



「理由も説明しない俺を信じてくれるんだろ?」




「・・・うん。


だから、いつか話してね」




「頼もしいな、奈緒は。」




隆司はいつものように涼しげに笑っている。



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