君と桜と



「奈緒ちゃん・・・ちょっと、いいかな。

聞きたい事があるんだけど。」



昼休みに結衣ちゃんが奈緒の席に来た。


2学期になって試合が増えたため、絢を含めてほとんどの運動部員は昼休みも練習に行っていて、教室に人はまばらだった。



いいかな?と首をかしげる結衣ちゃん。
きれいな笑顔にはどこか迫力があって、思わず身構えてしまう。


絢の友達ではあるけれど、二人だけで話したことはあまりない。
何を聞きたいのだろう。



「いいよ?絢ならもう練習に行ったけど・・・」




「ちがうの。絢のことじゃなくて。

単刀直入に聞くけど、奈緒ちゃんは三谷君とどういう関係なの?」




「どういうって・・・友達、だよ。」


自分で言った言葉が、自分に突き刺さる。


前の席にちらっと目を向ける。


隆司は図書室にでも行ったのか今はいなかった。



「えっ・・・うそ。
最近仲よさそうにしてるからてっきり付き合ってるのかと思ったぁ。」



キャハッと笑った結衣ちゃんに、奈緒は苦笑いを返した。
結衣ちゃんの言葉の裏にある気持ちを思うと落ち着かない。



「この前も一緒に写真撮ったりして~!奈緒ちゃんほんとうらやましかった!!
ね、奈緒ちゃん、実は好きなんでしょ?

あっもしかして、三谷君が奈緒ちゃんのことを好きなのかもねっ」


結衣ちゃんは楽しそうに話しているけど、やはりこちらを探るような目つきをしていた。
こんな会話、もし隆司に聞かれちゃったら・・・。




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