君と桜と



友達でいると決めたのだから。
これ以上広まってしまったら、隆司に迷惑がかかってしまう。





「はあ・・・」




ため息をついて、窓の外を見上げる。なんだか今日は雲行きが怪しい。
これから一雨振りそうだ。





「顔色悪いけど、大丈夫か?」



ドキッ・・・



いつの間にか戻ってきた隆司が心配そうな表情で奈緒を見下ろしている。




「・・・大丈夫だよ。」


ヘら、と我ながら情けない笑顔を返す。



「そう?ならいいけど。無理すんなよ。」



納得できない表情のまま、前の席につく隆司。



隆司から、胸の高鳴りから目をそらす。

これでいい。甘えすぎちゃだめなんだ。


隆司の彼女じゃないんだから。



強くならなきゃ、いけないのだから。




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