君と桜と
隆司が待ってと言っている限り、友達としてそばにいようと決心したのに、じゃましないでほしい。
・・・なんて、私が弱いだけなんだけど。
隆司に、嘘をついてしまった。
本当は、隆司の言うとおりだ。
強がる必要はない、って言ってくれるのは嬉しかったけど。
強がっていないと、壊れちゃうよ。
奈緒は中庭に出て、ぼーっと空を見上げた。
何も考えずに流れてゆく雲を見ていると、少しづつ、心が平穏を取り戻していくのが分かった。
遠くで予鈴が鳴ったのが聞こえたけれど、動く気力がなく携帯を取り出す。