君と桜と
「奈緒!」
まもなくして、絢が中庭に来てくれた。
教科書をっもったままなので、教室移動の途中で奈緒のメールを見たのだろう。
「絢、サボらせちゃってごめんね。」
「ううん、いいの。
練習詰めだったし、少しは息抜きしないと!」
「ありがとう。」
絢はニコッと笑って奈緒の隣に座る。
絢は奈緒が突然呼び出した理由を決して問い詰めたりはしなかった。
きっと気になっているのだろう。
でもそんな素振りは見せず、のんびりと、あ~寝ちゃいそう、なんて伸びをしている。
絢がいてくれてよかったよ。本当に、ありがとう。
もう一度、そっと心の中で感謝した。