君と桜と
季節は巡って
隆司の隣はとても居心地がよくて。
時々顔を出す恋心さえ見ないふりをしてしまえば、毎日は穏やかに過ぎていった。
気がつけば秋、冬、と季節は巡っていた。
絢と坂城君と四人で、たわいのない話をして
窓の外をちらつく雪を一緒に眺めて。
時々、隆司がその時に読んでいる本の話をしてくれることがあって。
そのお話の魅力や、隆司なりの解釈を語ってくれるのが、好きだった。
少しでも、隆司が考えていることを知ることが出来る気がしたからだ。
知らない話でも、隆司が語るとキラキラ輝く物語になった。
そんな愛しい毎日を積み重ねていくうちに、あっという間に3月にはいっていた。
クラス替えが、もうすぐそこまで迫っている。