君と桜と
こういう自然の雄大さを目の当たりにすると、
自分が幸せに感じたり、悩んだりしていることはちっぽけな事なんだと実感させされる。
だから不思議とここでは、考え込んでいても深く沈んでしまわないで、前向きに考えることができた。
だけど、幸不幸は他と比べられるものではないから。
それらを精一杯受け止めることが大事なんじゃないかと思う。
もし隆司がなにか苦しみを抱えているのだとしたら。
代わってあげることも、理解してあげることも、場合によっては難しいかもしれない。
だけど、いつも通り、近くにいることはできるよ。
この一年間
たくさん笑って
たくさん泣いて
過ごした日々は
きっと宝物になる。
そう思えるから。
そう思えたことを、隆司にも伝えたいから。
「あっ」
奈緒は宝石の様に輝く1番星を見つけて静かに微笑んだ。