君と桜と


あの時ああすれば良かった、と考えることは何よりも虚しいことだ。


奈緒は考えるのをやめてアルバムを見はじめた。



写真を撮ったのはどれも遠い昔のような気がした。


クラス初日の集合写真はなぜだか毎年うまく写れないんだよね。
今年のはものすごく眠たそうな顔。
去年のはもっと酷くて寝癖で髪がハネていた。
隆司に見られていたら散々笑われたんだろうなあ。


6月のじめじとした空の下で行われた体育祭。
全員参加のリレーで、走る隆司を初めて見て新鮮に感じたっけ。



そして文化祭。
準備期間から当日のものまで、多くのページが割かれているようだ。



廊下で舞台を組み立てる男の子たち。
衣装合わせをする様子。
メガホンを持って怒っている監督さん。


やっぱり、坂城くんの写真が多いなあ。
何も言わないけど、絢もやっぱり坂城くんのこと気に入ってるのかな?




あれ、これは・・・・・・




とあるページで手が止まった。

一枚の写真から、目が離せなくなる。







< 152 / 205 >

この作品をシェア

pagetop