君と桜と


そのページの真ん中に、
文化祭の前日に隆司と二人で撮った写真があったのだ。


絢があの時急にカメラを持って現れて。

アタフタしていた私に、隆司が呼びかけたんだ。



「奈緒、こっちむいて。」




突然そんなことを言われた私は、驚いた顔のまま隆司を振り返ったはずだった。




それなのに、


写真の中では奈緒と隆司が向き合って笑っていた。






―私、マヌケな顔してたよね・・・


―ああ、確かに・・・








嘘つき。



私、めちゃくちゃ笑顔じゃん。




隆司は、きっと気づいていたのだろう。



隆司の優しい笑顔を見た奈緒が、幸せいっぱいの笑顔を浮かべていたことに。











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