君と桜と


窓の外へと向かう、彼の視線をたどると





――青空に舞うピンクの花びら。







息を呑むほど美しいとはこの眺めのことを言うのだろうと、奈緒はぼんやり思った。





プリントが飛ばされて大騒ぎするクラスの声は、カーテンの向こうに遠のいていく。
周りから音が消え、時が止まっているようだ。




ああ、これは綺麗な絵の中の世界なんだ。




青空と、桜と、三谷君しかいない世界。





なんて幸せな夢。






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