君と桜と
「ここら辺のはずだけど・・・」
奈緒と絢は住所を聞いたそのままの勢いで、帰り道に隆司の家に向かっていた。
先生に聞いてみても家庭の事情、としか聞いていないということで。
そう言われてしまえば私たちが踏み込めるような問題ではないとは分かっていたけれど、いてもたってもいられずにここまで来てしまったのだ。
「あっ、あったよ!」
絢が三谷、と書かれた表札を指差している。
特に迷うことなく目的地についたけれど・・・
早く会いたいと思っていたのに、いざその時になると緊張してきた。
家まで押しかけたらうっとうしいと思われちゃうかもしれない。
・・・ううん。
今はそんなことを気にしてる場合じゃないよね。
ちゃんと学校に来なくなった理由を聞かなきゃ。
奈緒は意を決してチャイムを押した。
ピンポーン
中から誰も出て来る様子はない。
少し待ってからもう一度押してみても、結果はかわらなかった。