君と桜と


「今日も留守か・・・」



次の日も隆司の家は真っ暗で、誰もいないようだった。



「全くあいつは連絡もよこさずに何やってんのよ」


「なんか、ごめんね・・・」



部活の後で疲れているところをついて来てくれたのに、二日とも会えなかったのでさすがの絢も苛立っていた。


申し訳なさと、隆司に会えない不安でうつむいてしまう。


「奈緒は悪くないよ。私の大事な奈緒をこんなに不安にさせて、全くあいつは・・・」


絢が頭をポンポンと撫でてくれて。
ありがとうを言おうと顔をあげると、1人の女性がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。


「あの、あなたたちは隆司のお友達かしら?」


「あっ・・・はい!」



どうやらその女性は隆司のお母さんだったようで。


隆司に対して怒っていた絢は、若干気まずそうな笑顔を浮かべている。


「私たち、り、三谷くんに会いに来て・・・」


「あの、三谷君はどうして学校に来ないんですか?」



先ほどの気まずさはどこへやら、絢は奈緒を遮る勢いで遠慮なしに、ズバリ本題を切り出す。



お母さんはちょっと驚いたような表情をしていたが、すぐににこやかに



「話してあげるから家にあがってちょうだい。」
 


と言ってくれた。




隆司には会えなかったけど、やっと休んでる理由が分かりそうだ。


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