君と桜と
キーンコーンカーンコーン
奈緒はチャイムの音で再度、はっと目を覚ました。
寝ちゃってたんだ・・・
夢の中で目を覚ましたつもりになってしまう、よくあるパターンだったのだろう。
本を抱えて立ち上がった三谷君をなんとなく見上げる。
何かが引っかかっている。
そういえば、さっき笑ってる三谷君を見たような・・・?
ああ、それが夢だったのか。
現実なわけないもんね。
現実の世界でも笑ってくれたら嬉しいけれど。
「何か用?」
じっと見つめている奈緒に気づいて、三谷君は訝しげな表情をしている。
「あっ・・・なんでもない、です。
ごめんなさい・・・」
奈緒が慌てて謝ると、三谷君は興味がなさそうに行ってしまった。
はあ、きっと失礼なやつだと思われちゃったよね。
せっかく幸せな夢を見ていたはずなのに。
現実ってうまくいかないなあ・・・