君と桜と

祈り




家に帰るとすぐにピアノの部屋へと向かった。


レッスンを再開してからは毎日ピアノに触れるようになった。
学校から帰ると、制服も着替えずまっすぐにピアノに向かうようにしている。



つい部屋で着替えるとのんびりしてしまうし、それに、学校でその日考えたことや感じたことを忘れないうちに弾きたいと思っている。



お母さんに学校であったことを報告する感覚に似ているかもしれない。


小さい頃からずっと一緒だったピアノと、再び歩み始めたのばかりで。


毎日感じていることを、ピアノに向かって語りかける、この時間が奈緒にとって1番のリハビリになっていた。












< 172 / 205 >

この作品をシェア

pagetop