君と桜と
「はあっ、なんとか、間に合った・・・!」
奈緒が向かったのは神社だった。
階段まで駆け上がったので、肺がキリキリと痛かった。
それでも走ってきた甲斐があり、お守り売り場にはまだ明かりが点いている。
「あのっ!お守りを、一つください。」
巫女さんは閉める準備をしていたようだけれど、息をきらしてやって来た奈緒を見て、嫌な顔一つせずにお守りを出してくれた。
「はい、どうぞ。あなたの祈りが届きますように。」
そう言って微笑んだ巫女さんに、深く頭をさげた。
「ありがとうございます・・・。」