君と桜と
奈緒はお守りをにぎりしめ、隆司の家に向かって走った。
神社に行くだけでも相当疲れていたのだけれど、それでも気持ちが急いていて、走らずにはいられなかった。
隆司のお母さんが病院に戻ってしまったら、蘭ちゃんにこのお守りを届けることができなくなってしまう。
そう思うと、一分一秒が惜しくて。
蘭ちゃんが元気になったら、きっとあの巫女さんに会いに行こう。
そんなことを思いながら、奈緒は走り続けた。
ピンポーン
隆司のお母さん、もう病院に帰っちゃったかな・・・
それだったら、直接病院に行ったっていい。走って気が高ぶっているせいか、そんな風に思えてきた。
とにかくこれを、わたさなくちゃ。
わたしの、祈りを。