君と桜と
「・・・嬉し涙だからいいの!」
嬉し涙で泣くのも、泣き虫というのかもしれないけれど。
また隆司とこうして会話をしていることも嬉しくて、しばらく涙は止まりそうになかった。
「来週、そっちに帰るから。」
「えっ・・・もう、退院できるの?」
「いや。蘭はまだ入院だけど。
大丈夫そうだから先に帰る事にした。
俺も一応、受験生だし?」
涙は止まらないし、帰ってくると聞いて鼓動が明らかに早くなっているし。
「ひ、久しぶりだね。」
嬉しさと、ドキドキで苦しくって、何を言ったらいいかわからなくなってしまった。
やっと隆司に会えるんだ。
「うん。久しぶりだね。」
隆司は奈緒の返事が可笑しかったようでクスッと笑った。
「その時に、話したいことがあるから。
放課後、待ってて。」
そう言った隆司の声からはもう、あの日の図書館で感じたような苦しみは感じられない。
「・・・うん。わかった、待ってるね。」