君と桜と
期待なんてしない。
そうはいいつつも、隆司に会える嬉しさも合間って、
奈緒は毎日そわそわしていた。
常に隆司の話の内容を予想しては否定する、というのを繰り返していた。
「奈緒・・・親友として忠告するけど、顔が緩みっぱなしでキモい!」
「き、キモいって・・・」
「三谷に会えるのが嬉しいのは分かるけど。
ってあんたも顔を引き締めなさい!」
「いや〜俺も隆司が大好きでさ。」
「照れるな。」
絢は奈緒の隣でニタニタ笑っている坂城君にも注意した。
「確かに、坂城君がニタニタしてるのはちょっと・・・」
爽やかな坂城くんのイメージとはちょっと違うかな。
「なっちゃんまでひどっ」
「ご、ごめんっ」
絢が容赦無くツッコミを入れるのにつられて、奈緒まで坂城くんに遠慮なく意見を言ってしまっていたことに気づき、慌てて謝る。
「奈緒、本当のことなんだから、謝ることなんてないよ。」
絢はそう言っているけれど、坂城君だって、隆司が戻ってくるのを待ち望んでいたんだから、仕方がないよね。