君と桜と
君と桜と
それでもやっぱり、約束の日が近づくにつれて穏やかな気持ちではいられなくなってきて。
隆司が帰ってくる前日、奈緒の緊張はピークに達していた。
いよいよ、明日だ。
待ちに待った日。
この一週間早く時が過ぎてほしいと思っていたけれど
いざ近付くと、少し憂鬱になるのが不思議だ。
会った時、まずなんて言えばいいんだろう・・・
‘おかえり’
んー?
‘会いたかった’
・・・ストレートすぎる。
‘元気だった?’
なんか違うよね。
それにしても、隆司になんて声をかけたらいいんだろう、なんて考えるのは久しぶりだ。
出会って間もない頃は、聞きたいことがあっても話しかけられなくて。
その頃に戻ってしまったみたい。