君と桜と
「あーっもうわかんないっ!」
奈緒は抱えていたクッションを壁に向かって投げた。
今まで毎日会ってたのに、なんでこんなに緊張してるのかな・・・
し、しっかりしなきゃ!
机の一番上の引き出しからクラスアルバムを取り出す。
三年間の写真が詰まった卒業アルバムとは違って、クラスアルバムは大きさも厚みもコンパクトにできている。
そのせいか、ついつい手にとって見てしまうのだ。
決まって開くのは文化祭のページ。
奈緒と隆司が笑あっている写真。
時間が経てば経つほど、そこに写っているのが自分じゃないような気がしてくる。
それでも、ちゃんと自分の中に文化祭のキラキラした日々の記憶が残っているので、不思議な感じがする。
もしももう一度、夏に戻ることができたら。
私はどうするのだろう。