君と桜と
「二人とも、行っちゃった・・・」
見回してみると、他のクラスメイトもほとんど教室には残っていなかった。
奈緒の他には学級日誌を書いている日直さんと、そのまま教室に残って勉強しているクラス議長さんだけだ。
落ち着け、私。
カリカリと真面目に取り組んでいる二人に対して、うじうじと情けなく座り込んでいる自分が、だんだん恥ずかしくなってきた。
このままよろよろしている所を隆司に見られるのも嫌だよね、うん。
ただ久しぶりに会うだけじゃん。
去年は毎日会ってた訳だし、
何も緊張することなんてないよね。
よし、とりあえず帰る準備をしよう。
奈緒はよろよろと立ち上がって、窓際の席へ向かった。