君と桜と
ミルクティーの甘さ
昼休み、飲み物を買いに一階に降りて行くとミルクティーを持った三谷君がいた。
「あ、どうも。」
三谷君も奈緒に気付いて軽く会釈をした。
「三谷君もミルクティー好きなんだね!私もそのパックのがっ・・」
挨拶をしてくれたのが嬉しくて、奈緒は勢い込んで話し始めたが・・・
自販機に目を向けると三谷君の肩越しに光る売切れのランプ。
私、今日何か悪い行いをしたっけ?
神様仏様・・・
なんでいつもは人気が無いミルクティーが売切れてるのですか・・・?
「あ、俺、悪い事しちゃった?」
三谷君は奈緒のただならぬ雰囲気を察して、戸惑っているようだった。
「いや、あのっ大丈夫!今日は諦めるから!」
三谷君に気をつかわせちゃいけないと思ってそう言ったけれど、
今日はもともといちごミルクの気分だったから!
とかもっと気の利いた言い方をすればよかったのに、とさらに気分が落ち込んだ。
情けない気持ちで、泣きたいのをぐっとこらえていちごミルクのボタンを押す。