君と桜と
「遅いっ!!!早く食べよ〜」
教室に戻ると、絢がお弁当を持って奈緒の隣の席に座っていた。
「ごめんっ」
「うん、いいよっ」
お腹空いてる絢に待たせて悪かったと思い、素直に謝ったけれど、絢は既にお弁当を広げてご機嫌な様子。
「いっただきまぁ〜す!」
絢は幸せそうに食べ始めたけれど、奈緒はミルクティーを見つめたまま固まっている。
「奈緒、どうしたの?」
「いや、ちょっと考えてただけだよ。」
前の席に座る三谷君にどうやってお礼を言おうか考えていたのだ。
三谷君に優しい一面があることは分かったけれど、まだ話しかけるのは勇気がいる事だった。