君と桜と
「三谷って以外とかわいい物飲むんだな。」
「・・・」
お弁当を食べつつ本を読んでいた三谷君の元に、坂城君がやってきた。
奈緒が一言お礼を言うのに勇気を総動員して臨もうというとしている間に、坂城君は何のためらいもなく話し始めている。
彼はとても社交的で、女の子からも男の子からもモテる、クラス一の人気者だ。
「甘党とかかわいっ」
坂城君は大きな目を真ん丸にして三谷君を見つめるが、三谷君は相変わらず無言である。
人の会話を聞くのもどうかと思うけれど、奈緒は目を離すことができなかった。
坂城君、そう言っているあなたがかわいいです・・・じゃなくて!!
三谷くん、無視デスカ・・・まさか怒ってる!?
奈緒は顔を伺おうと少し椅子をずらしてみるが、三谷君は前をむいているので表情まではよく見えない。
いちごミルクは私のせいなんだけど、何か言った方がいいのかな。
あ、でもミルクティー飲むって事は甘党なのは本当なのかな?
反応がないのを不思議に思ったのか坂城君は首をかしげている。
まっすぐな性格の坂城君のことだから、無視されているということに気づいていないのかもしれない。
ああごめんなさい!
自首しますから怒らないで!!
ガラッ
奈緒が意を決して立ち上がった、その時――