君と桜と


「うん、他のところは合ってるみたいだから。
すぐ終わるんじゃない?」


三谷君は、励まそうとしてくれているのだろうか。

いちごミルクの一件以来、ちょくちょく坂城君と話しているのを見かけるけれど、相変わらず他のクラスメイトにはそっけない対応をしているようだった。


そんな三谷くんが、奈緒の方を振り返ったままじっと見つめてくるのはなぜなのだろう。


首をかしげる奈緒を見て、三谷くんは何かを決心したように口を開いた。



「ここは、その反応の過程を書くところだから・・・」


どうやら三谷君は、首をかしげる奈緒を見て、本気でこの問題がわからなくて困っていると思ったのだろう。事実、わからないのだけれど。



「う、うん。そこまではなんとなく分かって、教科書を見てみたんだけど・・・」




だいぶびっくりしたけれど、三谷くんが折角教えてくれようとしているのだから、しっかり聞かなくては。



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