君と桜と


「そう。奈緒が三谷君の事を分かった気になってたってこと。

本当に三谷君の事を理解したいなら、奈緒の中のイメージで決め付けないで直接三谷君から教えてもらわないと。」


「・・・なんか話が大げさになっちゃってるよ。」


「大げさじゃないよ。」


「だって私のちょっとした僻みというかなんというか・・・」


「でも、マイペースな奈緒が人のことを気にしてそんな風に思うなんて珍しいじゃん。
いつもなら人のことは人のことって、テストの順位で悩んだりしないでしょ。」


「そう、かも。」


言われてみれば、絢の言うとおりな気がしてきた。
平均点以下だとさすがにまずいな、と思うけれど、これまでテストのことでこんなに気持ちが動かされることはなかったかもしれない。


「なんで今回は違うんだと思う?」


「うーん・・・なんでだろう。」


「その理由をよく考えてみたら!?」



「うん。難しそうだけど、すこし考えてみる。」


ずばりと指摘したり、今度は問いかけてみたり。
絢も隆司がそうしてくれたように、奈緒を答えまで導いてくれようとしているのだろうか。




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