君と桜と
「ここでちゃんと自分に向き合えば、何か大切な事が分かるかもよ。」
夏の日差しが降り注ぐ中庭に、気持ちいい風が吹き抜けた。
奈緒の心は少し軽くなっていた。
「頑張ってみる。絢ありがとう!大好き!」
優しい気持ちが溢れてきて、胸がきゅん、とした。
絢に抱きつと、いつものように優しく受け止めてくれる。
大切に思える相手ができて良かったね。
そう小さくつぶやいた絢の声は、奈緒には聞こえていなかった。