君と桜と
「箕輪!コラ、何ボーッとしてんだ!」
「は、はいっ!ごめんなさい!」
化学の授業にて。
テストが終わった反動でいつも以上にボーッとしてしまって、先生に呼ばれているのにも気付かなかったらしい。
慌てて教卓に向かう。
答案返却も化学で最後だ。
いまのところ、奈緒の成績は、まずまず、といったところだ。
もちろん、これまでの自分と比べてのこと。
数学は下がってしまったものの、ほかの教科はこれまで通りの点数をキープできた。
「テストが終わったからといって腑抜けていたら、また点数下がるぞー!」
「先生、みんなの前で言わなくても・・・」
ガハハ、と豪快に笑いながらそういった先生と、奈緒のやりとりに、クラスのみんなはクスクス、と笑っていた。