君と桜と


「せ、せんせ!恥ずかしいので早く返してください!」


うう、少しボーッとしてただけでこんなに笑われてしまうとは・・・



「まあ、そう焦るなって。箕輪、今回はすごいぞ!」


今度は
おおっ!
と誰かがはやし立てる。


「ほんとですか・・?」


何点だったのかな。
化学はいつもより頑張ったから期待できそう!


「ああ。点数は普通だが、今回一番難しい問題で得点しているんだ。
毎回のようにレポートを再提出した甲斐があったな!」


「それってほめてない・・・」

またひとしきり笑われたあと、やっとのことで答案を返してもらった頃には、奈緒はぐったりとしていた。



「・・・お疲れ。」


席に戻ると三谷君がニヤニヤと迎えてくれた。


「先生、私に対してだけひどいよね。」


この先生はもともと全員にコメントをしながら時間をかけてテスト返却をするタイプだ。
しかし、奈緒に対してはアドバイスというより、からかっているようにしか思えない。


「いじりがいがあるんじゃない。」


「えっ、ちょっと!三谷くんまでそんなこと!」


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