君と桜と
「ごめんごめん、でも褒めてくれてたじゃん。よかったね。」
「う、うん・・!」
不思議と三谷君によかったね、と言われると素直に喜べる気がした。
席について改めて自分の答案を見直してみる。
たしかに、点数は平均点にギリギリ届くくらいの無難なものだ。
だけど、先生が一際大きなはなまるをつけてくれている問題。
これがさっき言っていた「一番難しい問題」なのだろう。
「あの、三谷君・・・」
奈緒は前の席に向かって声をかける。
「ん、どうしたの。」
「これ、みて!!」
「この問題・・・」
奈緒が指さす先のはなまるを見た三谷くんは、ふわり、と、とても優しく微笑んだ。
「レポート、頑張ってたからな。
解けるようになってよかった。」
「うん、ありがとう!
三谷君のおかげです!」
先生とほぼ同じことを言っているはずなのに、こうも印象が違うのはなぜだろう。