君と桜と


「三谷くん、これはまずいよ・・・」

「いや、問題無いだろ。」


奈緒が不安になって耳打ちするが、三谷君は余裕の表情。


「ほんとにっ!?この状況でっ!?」

「行くぞ。」

「ええっ、まって!!」


三谷君は奈緒の手を掴んで走り出した。




「おいっ隆司!お前本当に忙しいのかぁー?」



「ぷっはははっ・・・」

この期に及んで隆司の嘘を信じている坂城君に二人で同時に吹き出した。

爆笑しながら走ったので、1階につく頃には息があがっていた。


実際誰も追い掛けて来なかったから走る必要は無かったのだけど、二人は何だか大脱走を遂げた気分になり、顔を見合わせてまた笑う。



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