君と桜と
絢は人の良い所も悪い所もちゃんと見る事ができるから、みんなから好かれて頼りにされていた。時々厳しいことを言い始めるのでその度に驚いてしまうのだが、奈緒は正義感の強い絢のことが大好きだった。
うん、我ながら本当に良い親友を持った!
えっと・・・36番だからここかな?
絢が取っておいてくれた座席表を見ながら席を探す。
探すといっても、いつも窓際の特等席なので分かりやすい。
苗字が箕輪でよかったと思う一番の瞬間である。
絢は加藤だから遠いのは悲しいけれど、奈緒は教室の窓からぼんやりと空を眺めるのが好きだった。
みんなが席に着き担任が今日の予定などを話し始めると、突然視界が開けた。
前の男の子が堂々と居眠りを始めたのだ。
もしかして・・・
この人結衣ちゃんが言ってた無愛想で失礼極まりない人?
えっと名前は・・・
一度カバンに閉まった座席表を取り出そうかと思ったその時。